京都01

京都府立医科大学附属病院放射線部の男に会いに生まれて初めての新幹線に乗った、京都へ行くのは高校の修学旅行以来だった。東京でしか売っていないからと頼まれて買った某プロレスラーの公式グッズのパーカーを、バカ正直に買って行って渡したけど代金はもらえなかった。
天下一品というラーメン屋さんがあるんだよと教えてくれたけれど結局行かなかった、狭い六畳の下宿は万年床だし、泊まるとなったらやることは一つしかなかった。

『例え年上でも自活している貧乏青年と親の仕送りで悠々暮らしている大学生では、性別関係なしに後者がいろいろ金銭の面で便宜を図って然るべき』、例えもしそれが大学生であるわたしがまだ知らないこの世の常識だとしても、往復数万の新幹線のチケットを買いお土産を献上し気を遣いながら他人本位にセックスを“させてあげる”のは酷く空しい気持ちになった。然るべき金銭を受け取ってもいい程度の性的労働を強いられているのは不当だと思った、そこに愛情がないならわたしが受け取るべきものこそ金銭だった。
仰向けになった男の膝の裏を両手で押し上げ男を「つ」の字の形にして舐めながら、昼間はSで夜はMだなんて聞いていないし勘弁してくれと思った。「気持ちいい?」聞く男の神経を疑ったけれどわたしは悲しいサービス精神で、とりあえず笑顔で「気持ちいいよ」と答えておいた。